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ウェルスマネジ Research Memo(1):不動産、ホテルオペレーション、アセットマネジメントの3つの強みを持つ  9月10日16時11分

■要約

1. 不動産、ホテル運営、アセットマネジメントの3事業の展開により、飛躍的成長を続ける
ウェルス・マネジメント<3772>は東証2部に上場し、自己投資・共同投資を行う同社のもと、不動産金融事業、ホテル運営事業を展開する主要子会社2社を持つ。同社グループは、1)ホテル・旅館の再生、開発に強みを持つ「価値創造型の不動産会社」、2)国際的なブランドを持つホテルオペレーターとのタイアップにより、バジェットタイプからラグジュアリータイプのホテルまで「収益の最大化を図るホテルオペレーション会社」、3)国内外の様々な投資家とのつながりにより、コア型からオポチュニスティック型投資まで対応する「ブティック型の独立系アセットマネジメント会社」、という3つの強みを有している。グループ各社が専門機能を担い、補完しながら総合的にビジネスを展開できる強みを発揮して、現中期経営計画の推進により、飛躍的な成長を計画している。

2. 2020年3月期は、期初計画を大きく上回る増収増益で、高い安全性・収益性を確保
同社の2020年3月期の業績は、売上高13,220百万円(前期比333.8%増)、経常利益3,732百万円(同290.2%増)と大幅な増収増益決算となった。不動産の売却益を主因に、売上高は期初計画比46.9%、経常利益も同24.4%上回る好決算であった。信託受益権(イビススタイルズ大阪難波)の譲渡、不動産(箱根町ホテル開発用地)の売却、持分法適用関連会社の収益貢献等により、大幅な増収増益を実現した。セグメント別では、不動産金融事業が売上高10,532百万円(前期比118.3%増)、セグメント利益4,701百万円(同11.1%増)で、同社全体の増収増益をけん引した。一方、ホテル運営事業は売上高4,807百万円(同148.8%増)と増収であったものの、第4四半期からの新型コロナウイルスの影響を大きく受け、セグメント損失268百万円(前期は79百万円の損失)となった。なお、同社では、不動産金融事業の売上高・利益については、2019年3月期は特別利益を、2020年3月期は持分法による投資利益を加算修正して、同事業の実質的な収益を捉えている。

事業拡大に伴い、総資産は前期末比2.2倍に拡大したが、自己資本比率、ROE、ROAは目標とする東証1部不動産業平均を上回り、同社は極めて高い安全性・収益性を維持している。同社株式の流動性の向上と投資家層の拡大を目的に、2019年4月に株式分割を実施し、1株当たり年間配当金は実質前期並みの20円とした。今後は、配当性向の引き上げが課題となるだろう。ただ、2019年9月末の株主を対象に、保有株式数に応じて株主優待(同社グループの運営ホテル利用券の贈呈)を実施するなど、トータルで株主還元を目指している点は評価すべきである。

3. 2021年3月期の業績見通し
同社は、2021年3月期の業績予想について、売上高23,000百万円(前期比74.0%増)、営業利益3,000百万円(前期比10.8%増)、経常利益3,500百万円(同6.2%減)を見込んでいる。ホテル運営事業に関しては宿泊需要の落ち込みから相応のマイナス影響を受けることが予想される。しかし、主力の不動産金融事業の収益でこれを補うことを目指す。すなわち、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経営難から、割安価格で市場に放出された物件を取得するなど、ホテル以外のアセットにも積極的に投資を行う考えである。これは、同社グループが計画している総合型REITの創設を念頭に置いた戦略となっている。こうした対応によって、中期経営計画2年目の数値目標達成を目指している。

4. 中期経営計画では、国内有数の受託資産獲得と、1部上場基準を満たす基盤づくりを目指す
現在推進中の「中期経営計画2022」(2020年3月期−2022年3月期)では、「J-REIT創設を目指すことによって資産循環型ビジネスへの転換を図り、国内有数の受託資産を獲得する」、「1部上場基準を満たす基盤づくりを進める」ことを目標に掲げている。また、2022年3月期の売上高140億円、経常利益40億円、EBITDA(経常利益(利払前)+減価償却費)45億円を目標に定めた。それぞれ2019年3月期の4倍超となる、意欲的な数値目標を掲げている。初年度の2020年3月期は、2年目の目標数値である売上高100億円、経常利益35億円を、1年前倒しで達成する順調なスタートを切った。当面は、新型コロナウイルス感染症が経営環境や業績に及ぼす影響について懸念される。しかし、同社は中期経営計画の目標達成に向けて着実に事業戦略を推進する意向である。

同社の株価は、新型コロナウイルス感染症の拡大を背景に2020年4月初めまで大きく下落した。直近までの戻りは、他の類似銘柄に比べても不十分である。それは、同社は不動産業でありながらホテル業として評価されていることが一因であると考えられる。弊社では、同社グループのビジネスモデル、意欲的な経営計画、順調な業績推移などが投資家に十分に理解されれば、徐々に株価評価が切り上がると見る。

■Key Points
・グループ会社3社が専門機能を担い、不動産会社、ホテルオペレーション会社、アセットマネジメント会社の機能を持ち、総合的にビジネス展開できるのが強み
・2020年3月期は、不動産売却益もあり、売上高は前期比333.8%増、経常利益も同290.2%増と、期初計画を大きく上回る好決算。自己資本比率、ROE、ROAは東証1部不動産業平均を上回り、健全性・収益性が極めて高い。株式分割を実施、実質2019年3月期並みの年間20円の配当を維持
・2021年3月期は、ホテル運営事業の落ち込みを、不動産金融事業の収益で補う計画
・「中期経営計画2022」では、受託資産の増加と1部上場基準の基盤づくりを目標に、売上高、経常利益、EBITDAを3年間で4倍超を目指す意欲的な計画。数値目標の達成に向けて着実に事業戦略を推進中。同社グループのビジネスモデルが投資家に十分に理解されれば、株価評価が切り上がると見る

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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