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ウェルスマネジ Research Memo(8):J-REIT創設を目指し、資産循環型ビジネスへの転換を図る(2)  9月10日16時18分

■ウェルス・マネジメント<3772>の中長期の成長戦略

2. 事業方針
同社グループでは、中期経営計画2年目の数値目標達成を目指して、2021年3月期は1)上場リート創設、2)新規物件取得、3)開発スキームの着実な実行、の3つのビジネスプランに注力する方針である。

(1) 上場リート創設
現在、パナソニック ホームズ(株)とともに、上場REIT創設に向けて検討を進めているところである。同社では、「総合型REIT」としての上場を目指して様々なアセットタイプを拠出することで、受託資産を積み上げ、グループ収益の安定化を図る方針だ。特に景気が悪化している2021年3月期は、会計年度末が迫ってくると、各企業においても業績達成のために資産売却の動きがあると予想し、創設する上場REITはどのような物件も取得できるマルチプラットフォームとして制度設計を進める考えである。

中期経営計画では、資産循環型ビジネスの実現を重点戦略に掲げている。すなわち、同社グループでバリューアップした不動産を自ら組成する上場REITに拠出し、還元された資金また次の投資に充てていくという、取得と物件売却のサイクルを回すことにより、グループの受託資産の積み上げと外部成長を目指し、収益の安定化を図る計画だ。

(2) 新規物件取得
景気が後退している現在のマーケット好機を捉え、ホテル以外の多様なアセットタイプの物件の積極的な取得を目指す方針だ。新型コロナウイルス感染症がもたらしたリーマンショック級の景気後退に伴い、有利子負債の削減等により割安な不動産がマーケットに出始めており、今後も増えると見込まれる。同社グループには、既に竣工ベースで約1,500億円超のホテルアセットがあるが、総合型REITを目指すため、今後はホテル以外の物件についても積極的に投資を行う計画だ。これまで培ってきたノウハウを十分に活用し、新型コロナウイルス感染症拡大の逆風を追い風に変えたいと考えている。

同社がこれまで手掛けてきたアセットの受託と保有の実績を見ると、ここ数年はホテルを中心に手掛けたことでホテルアセットの比率が高まっているが、オフィス、商業施設などの取扱実績も豊富であることが分かる。

(3) 開発スキームの着実な実行
今後さらに複数のホテル案件の開発を計画的に進行し、アセットマネジメント収益の増強を図る方針である。現状は、開発段階で工事期間やコストなどへの影響が出てきているものの、開業スケジュールに大きな問題は出ていない。現在進めている複数のホテル案件の開発を着実に進めるとともに、収益機会についても見直しを図るなど、対策を講じる計画となっている。同社グループが現在運営中のホテルは3件であるが、事業設計や施行・開発準備中の物件が5件、2020年3月期に取得した箱根の強羅、北海道のニセコの2件を含めて、合計10件のプロジェクトを進めており、2021年に3件、2022年にも2件を開業する予定である。

ホテルの開発スキームでは大きく4つのステージがあり、1つ目が用地の取得時点、2つ目がプロジェクト確定時点、3つ目がホテルの竣工及び開業時点、4つ目がREIT等への拠出時点となる。この4つのステージにおいて、同社はリスク許容度の異なる投資家をアレンジし、共同投資をする。そして、各々のステージごとにいったん投資を終了させ、共同投資家とともにリターンを享受している。このように、一連のプロジェクトにおいて、進行フェーズに合わせた投資家の入替(リキャピタリゼ—ション)により複数回の収益機会を設けることで、収益の安定化を図っている。

ホテル事業には運営事業と投資事業があるが、同社のホテル事業は主に開発物件への投資であり、事業セグメントでは不動産金融事業に分類される(ホテル運営事業は、ホテルの運営にかかる収益のみを計上)。同社グループでは、開発プロジェクトに投資した資金は年間20%~30%のリターンを目指しており、5年間では2~2.5倍になり、REIT等へ拠出する最終ステージには大きな売却益を実現する計算だ。今回のようなパンデミックによって保有する不動産価値が低下することも想定されるものの、同社グループの高い収益力を考えれば、投資資金が毀損するリスクは小さいと考えられる。

以上の3つのビジネスプランに加え、2021年3月期はホテル運営事業において国内需要の獲得に注力する方針である。ホテル運営事業に関しては、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、現状では海外旅行者の入国は禁じられており、ホテル業界は大きな打撃を受けている。政府の緊急事態宣言は解除されたものの、国際観光旅行の解禁やインバウンド誘致の再開は早くても2021年3月期第3四半期以降になる見通しである。同社グループでは、国内宿泊の8割を占める日本人観光客を中心とした国内旅行は、マイクロツーリズム(3密を避けながら、近場で過ごす近所旅行)の動きを反映して、先行して回復すると見ている。特に、ラグジュアリー志向が強まると予想し、日本人顧客の消費意欲の取り込みを一層強化することで、国内需要の獲得に注力する計画である。同事業の業績回復は、2021年3月期上期の売上減少を、こうした事業戦略によって、下期以降にどれだけ挽回できるかにかかっていると言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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