明日の株式相場戦略=決算発表が生み落とす怒涛のトレンド

2020年08月04日 17時29分

 きょう(4日)の東京株式市場は日経平均が大幅続伸となり、あれよという間に2万2000円台半ばまで急速な戻りをみせた。一時は400円を超える上昇で2万2600円台に乗せる場面もあった。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないなかで、佳境に入ってきた企業の決算発表だが、空売り筋が買い戻しを強いられるケースが多くなっている。前週末までの1週間とは打って変わり、足もとでは決算発表に売りポジションをとる側が戦々恐々としているような感触だ。

 市場関係者によると「決算発表期特有の動きとはいえ、個別銘柄についてはグロース株とバリュー株のロング・ショート戦略が激しく株価に影響を与え、投資家はこれになすすべなく振り回されている感じだ」(国内ネット証券大手アナリスト)という。企業決算が悪い内容であっても、事前コンセンサスより良ければ大きく買われる。そのなか、丸紅<8002.T>は前場取引時間中に発表した20年4~6月期決算で、売上高が前年同期比17%減で最終利益も11%の2ケタ減益を強いられた。しかし、事前の市場コンセンサスを上回ったことで株価は買い戻しを絡めピンポン玉のように跳ね上がり、時価総額9000億円前後の大手総合商社株が10%超の上昇と中小型成長株顔負けの大幅高を演じた。

 もっと驚くべきはキッコーマン<2801.T>だ。言わずと知れた国内トップの醤油メーカーだが、前日取引時間終了後に発表した4~6月期の最終利益は前年同期比13%減と低調だったものの、市場予測値を上回ったことで怒涛の買いが流入、なんとストップ高カイ気配に買われる異彩人気となった。こちらはきょうの急騰で時価総額1兆1000億円超えとなった。新型コロナウイルスの感染拡大を背景にグローバルベースで内食志向が高まっていることが醤油の需要を高め、いわゆる世界的な“おうちごはん”ブームがキッコーマンの業績に追い風となるという解釈がなされている。しかし、これについて市場関係者は「ストーリーとしては理解できるが、きょうストップ高に買われる根拠とするには極めて希薄。実際は貸株調達などで売り建てた玉のショートカバーが加速した。もっと踏み込んで言えば(AIを活用した)自動売買によるロング・ショートのアンワインド(巻き戻し)が株価を突き上げた要因」(準大手証券ストラテジスト)とする。

 言われてみれば、この逆パターンで、好決算を発表しても事前に先取りして株価水準を切り上げていた銘柄は、市場の期待に届かなかった場合に容赦なく売られる銘柄も散見される。しかしそれも、どっちに転ぶかフタを開けて見なければ(決算発表終了後に売り買いの板をみなければ)わからないケースが多い。人間の思惑とは逆に行くファンダメンタル度外視の投資家泣かせの大立ち回り、これがあちらこちらで演じられている。

 中小型株ではやはり新型コロナの感染拡大を底流テーマに動意づく銘柄が多くなっている。そのなか、強力な新型コロナ感染第2波を目の当たりにして、川本産業<3604.T>、大幸薬品<4574.T>、中京医薬品<4558.T>、マナック<4364.T>、大木ヘルスケアホールディングス<3417.T>など感染第1波で動いた防疫関連株が相次いで上値を指向している。しかし、なんといってもきょうの川本産業を筆頭にみな“決算発表絡み”であり、よほど自信がない限り、基本的にこのイベントを通過しないことには手が出しにくい状況にある。きょうはテレビ番組の影響で、ヨウ素生産トップの伊勢化学工業<4107.T>がストップ高に買われる人気となった。この連想では、本来マナックの1000円トビ台は垂涎の的となるが、同社は今週7日に4~6月期決算発表を控えており、安易に買いつくことができない。

 目先、決算発表通過もしくは決算発表に絡まない銘柄としてはIT人材関連のクシム<2345.T>やEV関連の三社電機製作所<6882.T>の戻り足、5G関連のNECネッツエスアイ<1973.T>の押し目買いなどを視野に入れておきたい。

 日程面では、あすは8月の日銀当座預金増減要因見込みが朝方取引開始前に開示。主要企業の決算ではディー・エヌ・エー<2432.T>、アサヒグループホールディングス<2502.T>、帝人<3401.T>、ライオン<4912.T>、レーザーテック<6920.T>、ホンダ<7267.T>、オリンパス<7733.T>、ユニ・チャーム<8113.T>、日本郵船<9101.T>などが予定される。海外では7月の中国・財新非製造業PMI、欧州では6月のユーロ圏小売売上高が発表される。また、米国で重要経済指標が相次ぎ、7月のISM非製造業景況感指数、7月のADP全米雇用リポート、6月の米貿易収支などが発表される。(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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