明日の株式相場戦略=AI主導、400円超の上昇で新たな景色

2020年08月11日 17時31分

 日経平均株価は前週後半に不完全燃焼でジリ安展開を強いられたが、3連休明けとなった11日の東京株式市場は、その鬱憤を晴らすかのように急反発に転じた。今週は海外マネーが夏季休暇で動きも鈍くなり、かといって国内機関投資家はお盆休みモード継続で上値を積極的に買い進むような展開は想定しづらい。「週末にオプションSQ算出が控えているとはいえ、薄商いのなか狭いゾーンでのもみ合いというのが今週の常識的なイメージ」(国内証券ストラテジスト)だった。しかし、いざ幕が上がってみるとスタート早々にAIがいきなりアクセルを踏み込んできた感じで、日経平均は400円を超える上昇となった。

 米国株市場では、ここ破竹の勢いで最高値圏を突き進んでいたナスダック総合指数が上昇一服となり、代わりに相対的に出遅れていたNYダウが大幅高で7連騰と上値追い基調を強めている。ウィズコロナ環境下で企業業績の明暗が分かれ2極化相場が言われ続けてきたが、目先的には勝ち組企業の範疇にあったハイテク株やネット系企業の利益確定売りが顕在化し、一方でショートが溜まっていた新型コロナで打撃を受けたオールドカンパニーの買い戻しという構図に変化している。一種のリターンリバーサルの動きであり、これは米株市場にとどまらず、東京市場も同様の流れを引き継いでいる。

 業種別騰落率をみると、きょうは不動産セクターが断トツの上昇率で以下は鉄鋼、銀行、空運、輸送用機器(自動車)と続く。内需と外需に分かれてはいるが、基本的に景気に敏感な業種で、言い換えるならコロナ耐性の弱いセクターが値上がり率上位に名を連ねている。新規感染者数の増加に歯止めがかからないとしても、だからといってこれらの銘柄が売られ続けることはない。日銀のETF買いやGPIFの買いがセーフティーネットを敷き、それを横にらみにショートカバーという投資行動によって空売り筋がリバウンド相場の演出役に回っている。足もとの大手不動産株の上昇などを見ると、人間だったら躊躇するような場面で間断なく買いが入り、おそらくAI売買の独壇場と思われる。ただし、これは波の上下動であってトレンドではない。日経平均2万3000円からもう一段階の上値を目指すには、7月中旬までの半導体関連のような実需で買われるセクターがリード役となる必要がある。

 きょう引け後のソフトバンクグループ<9984.T>の決算発表を契機に全体相場に影響を与えてきた“決算プレー”的な動きも鳴りを潜める方向となっていく。前週末時点で3月期決算企業を総括した4~6月期の営業利益は前年同期比約7割の減益とみられ、この落ち込みは四半期ベースではリーマン・ショック時の最悪期とほぼ同じレベルということになる。悪夢の4~6月を通過してしまえばもう怖いものなし、と言えるほど簡単な話ではないが、水準はともかく、ここから先のベクトルの向きだけみればひたすら上を目指すというコンセンサスが買い方の拠りどころとなる。

 不動産株は総論として買い戻しで上がっているとはいえ、物色対象としてこれまでとは違った観点で目が向きやすい。ファーストコーポレーション<1430.T>やサムティ<3244.T>、低位の新日本建物<8893.T>などに着目。また、ここにきて再びバルチック海運指数が上値指向を強めている海運セクターからNSユナイテッド海運<9110.T>、明治海運<9115.T>、飯野海運<9119.T>などもマークしてみたい。

 きょうはバイオ関連株も一斉高に買われた。そのなかでもひときわ好実態が光り、高難度の血液脳関門の通過技術「J-Brain Cargo」を活用した新薬開発に対する評価も高いJCRファーマ<4552.T>を継続的に追ってみたい。

 日程面では、あすは7月のマネーストック、7月の工作機械受注。注目される主な企業の決算発表では明治ホールディングス<2269.T>、第一生命ホールディングス<8750.T>、日本マクドナルドホールディングス<2702.T>などが予定されている。海外では、7月の米消費者物価指数、7月の米財政収支などに市場の関心が高い。欧州では4~6月期英国GDP、6月のユーロ圏鉱工業生産など。
(中村潤一)

出所:MINKABU PRESS

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